導入事例

融資クラウドプラットフォーム 株式会社山口フィナンシャルグループ 様

株式会社山口フィナンシャルグループ 様

 

先行事例がほとんどない中、「融資クラウドプラットフォーム」を導入し、個人向けローン、法人向け事業性融資の申込から電子契約まで融資業務の自動化を実現しました。

 

株式会社山口フィナンシャルグループ
IT統括部 次長 伊藤和夫様

株式会社山口フィナンシャルグループは、2006年に山口銀行ともみじホールディングス(もみじ銀行の持株会社)が経営統合して誕生しました。さらに2011年には北九州銀行を設立し、現在の3行体制が構築されました。3行がある山口県、広島県、福岡県では、地域性がまったく異なる部分もあり、独自のカラーを出しながら、それぞれの地域に密着したかたちでお客様とともに歩んでいます。同社では融資業務の効率化を進めるために紙をなくす、ものの移動をなくすツールとして電子契約に着目し、「融資クラウドプラットフォーム」を導入し、申込から電子契約まで融資業務の自動化を実現しました。導入の経緯と導入効果について、株式会社山口フィナンシャルグループ IT統括部 次長 伊藤和夫様にお話を伺いました。

課題

  • 融資業務のシステム化が進んでいなかった。
  • 紙をなくし、ものの移動をなくすために電子契約が必要。
  • 既存システムとの連携、相性がいいシステムを導入したい。

導入効果

  • 個人向け90%、法人向け50%が電子契約を利用。
  • 後方事務の効率化につながった。
  • ともに電子契約をスタンダードにしていきたい。

1. 【導入の背景】 地域に密着したかたちでお客様とともに歩む

── 山口フィナンシャルグループについて教えてください。

昨今、地銀の経営統合が多い中、業界に先駆け、2006年に山口銀行ともみじホールディングス(もみじ銀行の持株会社)が経営統合し、山口フィナンシャルグループ(YMFG)が誕生しました。さらに2011年には北九州銀行を設立し、現在の3行体制が構築されました。主要営業地域は、山口県、広島県、福岡県北部となっています。

YMFGのパーパスは「地域の豊かな未来を共創する」で、お客様とともに伴走しながら一緒に未来を作っていくことを基本に「地域に選ばれ、地域の信頼に応える、地域価値向上企業グループ」であることをめざしています。
3行が営業している地域は、高齢化であったり、後継者不足といった課題が多い地域でもあります。銀行はお客様があって成り立つ職業ですので、地域に密着し、その地域に貢献し、お客様とともに課題解決を図るべく事業を進めています。
グループとしては人材派遣など非金融部門などを活用し、従来の銀行の枠にとらわれずにも金融部門と非金融部門をクロスセールスしながらお客様に提案していくことで地域にお役にたっていきたいと考えています。山口県、広島県、福岡県では、地域性はまったく異なる部分もありますので、3行が独自のカラーを出しながら、それぞれの地域に密着したかたちでお客様とともに歩んでいます。

株式会社山口フィナンシャルグループのホームページ
株式会社山口フィナンシャルグループのホームページ

── セイコーソリューションズの「融資クラウドプラットフォーム」を導入された背景について教えてください。

銀行で使用するシステムに関しては、YMFGが主導して作っています。例えば預金業務や為替業務では、法人であればインターネットバンキング、個人であればモバイルバンキングなどはかなり前から導入されており、法人、個人ともに活用していただいており、お客様の利便性向上とともに銀行業務の合理化、効率化に役立っています。
一方で融資業務に関しては10年前とあまり変わらない銀行も多いのではないでしょうか。融資業務は債権保全などリスクがある中でどう管理していくかが課題となり、なかなかシステム化が進まないままでした。
しかし、デジタル化が進む中で融資業務だけ旧態然でいるわけにはいきません。システム化の遅れにより業務効率が非常に悪いことが浮彫りになっています。効率化を進めるためにはどうすればいいか、そのためには紙をなくす、ものの移動をなくすことが非常に大きな要因であると考えました。それらをなくすツールは何かを検討していく中で、電子契約が一つの解決手段として浮かび上ってきたのです。

2.【導入の経緯】各種システムとの連携、相性が決め手

── 「融資クラウドプラットフォーム」を導入された経緯を教えてください。

電子契約について具体的な検討を始めたのは2018年の年初からでした。そこから3ヵ月間で社内における検討を行い、4月からは具体的にどのような企業とパートナーを組むのか、各社のサービスにはどのような差異があるのかを実際に話を聞きながら確認していきました。
お話をお聞きしたのはセイコーソリューションズを含む数社です。ただ、YMFGの融資業務の場合、フロントオフィス領域にすでにベンダーが入っており、そのシステムとの相性がいいことも要件のひとつでした。

融資業務の入口から出口までを見通せば、まず入口で借入の申込があり、審査、社内決裁があります。そしてお客様から契約書をいただきます。契約後、内容を確認して融資が実行されお客様の口座に入金します。最後は債権書類、融資の書類を集中部署で保管します。ここで出口になります。
するとフロント部分だけでなく、CRMと呼ばれるお客様情報管理システムとの連携、ローン審査システムとの連携、不動産のシステム、そして稟議システムと幅広い連携が必要になります。特に融資の場合は稟議システムを営業店がかなり使いますので、そことの連携は重要です。

フロント部分、そして社内の各種システムとの連携がスムーズに行く、相性がいいことからセイコーソリューションズの「融資クラウドプラットフォーム」の導入を決めました。

「各種システムとの連携、相性のよさで決めました」と、伊藤和夫様
「各種システムとの連携、相性のよさで決めました」と、伊藤和夫様

3.【導入の決め手】 申込から電子契約までを自動化

── 「融資クラウドプラットフォーム」を導入された決め手を教えてください。

1.ローンの審査から契約までを自動化できる。
導入前は、ローンの申込はWebで受け付けていますが、その後は申込情報をオペレーターが別のシステムに入力していました。そして審査システムでの審査を行うのですが、手作業が多いのが現状でした。審査後は紙の契約書でお客様に署名・捺印してもらい、契約手続きが完了していました。
「融資クラウドプラットフォーム」は入口の申込を受けた以降を自動化でき、最終的に電子契約までできる点を評価し導入にいたりました。

2.タイムスタンプの認定事業者。
セイコーソリューションズはタイムスタンプの認定事業者ですので、一体導入できることに利点を感じました。仮に認定事業者でなかったら、そこから対応できるタイムスタンプ認定事業者を探して、システムの相性を見てとなりますので、一体導入できることは重要です。

3.個人信用情報照会システム L-CRIPの同時導入。
先にお話ししたように、ローンの審査において、それまで当社が使用していたシステムは古いモデルであり、手作業に負う部分がかなり多くありました。そこを自動化するために新しいローン審査システムを導入する必要がありました。
セイコーソリューションズは「個人信用情報照会システム L-CRIP」をお持ちであり、半年後にリリースされる最新モデルを一番にご提供いただけるとの提案もありました。ローン審査の自動化、そして融資業務の自動化を1社のシステムでできる点を評価しました。

「導入開発ではこちらのリクエストにきちんと応えてくれました」と伊藤和夫様
「導入開発ではこちらのリクエストにきちんと応えてくれました」と伊藤和夫様

── 導入開発は順調に進みましたか。

とても大変でした。システムの話としては、先にお話ししたフロント部分との連携、当社の各種システムとの連携、新たに導入する「L-CRIP」による審査システムとどう連携するかという課題がありました。いまではいろいろな導入事例が出ていますが、当時は先行事例がない中、手探りの状態でしたので大変でした。セイコーソリューションズ様はこちらのリクエストに対して、ていねいに、かつスピーディーに対応してくれました。

また、YMFGでは個人向けローンと法人向けの事業性融資を同時にスタートしたいと考えていました。同じお客様ですので、同時に提供したいのです。ただ、個人向けと法人向けでは同じ融資でもまったく同じではありません。個人は本人の確認が取れればよいのですが、法人は担当である財務部長がOKでも社長がNOという場合もあります。そうした違いをシステムに反映していくことも大変でした。本当に事例がありませんでしたから。

── 個人向けローンを先にリリースして、後から法人向けというケースが多いのですが、同時スタートを考えられた理由を教えてください。

まず個人も法人も同じお客様であることが一つです。そして当社では法人向け事業性融資を先にというイメージでした。リスクの面でいえば、個人の場合、クルマで数百万円、住宅でも5000万円くらいまでが主流です。法人の場合は、10億円、20億円という融資は普通にあります。
融資機会を考えると、個人の場合、クルマはだいたい7年ローンくらいですが、いまのクルマは壊れませんから、ともすると10年後が次の機会になります。住宅は一生で1回しか機会はありません。法人は年度資金、短期資金と1年の中で何回も資金調達がありますので、利用頻度が高いわけです。すると電子契約に慣れていただければ、非常に定着しやすく、利用ニーズがあるのが法人だと考えていました。

実際にスタートしたのは、法人向けの事業性融資が2019年5月、個人向けローンが同年7月からになります。

4 .【導入の効果】 個人向け90%、法人向け50%が電子契約を利用

── 「融資クラウドプラットフォーム」の導入効果を教えてください。

1.個人向けは90%、法人向けは50%が電子契約を利用。
現在では、個人向けローンの90%以上、法人向けの50%が電子契約を利用しています。法人の場合、お客様の方針として電子契約に対応できないところもありますので、個人の方が移行しやすいようです。
このようにお伝えすると順調に聞えますが、スタート時はかなり低迷していました。スタート前には業務フローも変わりますので、マニュアルも一新して行内説明会、勉強会も行いました。ただ、実際の営業担当としては、多忙な中で新たな電子契約の手順などをお客様に説明する必要があります。現在でも当時も契約は紙でも電子でもOKとしていますので、時間がない営業担当は、詳しい説明は次回にして今回は今まで通り紙で、となってしまったのです。

そこで行員に自分のスマートフォンを使用し、テスト環境で実際のお客様の操作を体感し利便さを理解してもらいました。そこから数字が伸び始めました。伸び始めたのは年が変わった2020年からです。

2.コロナ対応として最適。
リリースした翌年2020年からは新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、リモートワークや非対面、非接触が推進されました。実際に法人の場合、印鑑を捺すだけに出社はできないという場合、電子契約にすることで押印のための出社は必要なくなり、手続きや資金調達が滞ることなく進めてもらうことができました。個人の場合も同様で、契約のために銀行窓口に足を運ぶ必要もありませんので、喜んでいただけました。

3.後方事務の合理化につながる。
営業が書類をもらうためだけの往来や郵送はなくなりましたので、その分効率化は進んだと思います。契約時のやりとりが簡素化されるため、その時間をお客様との会話や提案にあてることもできているようです。

実際に効率化を進めることができたのは後方事務です。例えば契約書への記入時の書き間違い、印鑑のかすれといったことは電子契約によりなくなりました。紙の契約書の場合、署名・捺印済みの契約書に対してチェックシートで何重かのチェックを行います。そこで不備が見つかれば契約書は戻されて、再度、署名・捺印をいただく必要があります。
電子契約の場合、お客様に契約書としてご覧いただく前にチェックが完璧に行われていますし、お客様が書き換きえることもできませんので、契約後のチェックは実質的には必要はありません。
このように後方事務ではかなりの効率化が図られています。また、電子契約の場合、お客様控えは契約後すぐにお客様に確認いただけますので、紙の場合のようにコピーをお送りする必要もありません。もちろん、汚れ、紛失といった心配も不要になります。

5.【今後の期待】電子契約を一緒にスタンダードに

── 「融資クラウドプラットフォーム」の今後の活用予定を教えてください。

まだ電子化できていない書面が銀行業務には残っていますので、追加で進めて行く予定です。
また、銀行業務での電子契約を進めるだけでなく、YMFGとしても電子契約を推進しています。例えばYMFGと3行間の委託契約、請負契約、グループ会社との契約、そしてシステムベンダーとの契約なども電子契約を進めています。銀行業務はもちろんですが、YMFGの業務でも電子契約を活用している点はグループとしてアピールしたいと考えています。

── セイコーソリューションズ並びに「融資クラウドプラットフォーム」への期待、リクエストなどありましたらお聞かせください。

当社の電子契約は個人と法人では大きな違いがあります。法人が導入するにあたって、なにかしらの障壁があるわけです。もちろん営業担当の不慣れな説明もあると思いますが、電子契約の世の中への浸透具合もあると思います。それは商習慣の問題かもしれませんし、セキュリティの問題かもしれません。そういった世の中に浸透する障壁となっているものを、セイコーソリューションズ様や業界をあげて取り除く働きかけをしてほしいと考えています。

また、こちらの導入事例を読まれた金融機関の皆さんには、早く導入して仲間になりましょうと伝えたいですね。一緒にやっていくことでメリットも生まれますし、電子契約を一緒にスタンダードにしていきましょう。
今後のシステム面でのご提案やサポートともども、セイコーソリューションズ様には期待していますので、引き続きよろしくお願いします。

 

山口フィナンシャルグループ様、
本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

お客様プロフィール

◎株式会社山口フィナンシャルグループ
URL https://www.ymfg.co.jp
※ 取材日時 2022年9月

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