しののめ信用金庫
融資部 副部長 田島精一様(右)
融資部 次席考査役 吉田 勇様(左)
2025年6月に創立100周年を迎えるしののめ信用金庫は、群馬県富岡市に本店を置き、県の中南部を中心に52店舗(実店舗42店舗、店舗内店舗10店舗)を展開しています。中期経営計画に基づくDX推進の一貫として、2024年7月1日よりセイコーソリューションズの「融資クラウドプラットフォーム」を導入し、事業性融資と住宅ローンの電子契約をスタートさせました。導入の経緯と導入効果について、しののめ信用金庫 融資部 副部長 田島精一様、同部 次席考査役 吉田勇様にお話しを伺いました。
── しののめ信用金庫について教えてください。
しののめ信用金庫は群馬県富岡市に本店を置き、群馬県の中南部を中心に52店舗(実店舗42店舗、店舗内店舗10店舗)を展開しています。2024年3月期には預金残高1兆457億円、貸出金 4,342億円を計上し、群馬県内7つの信用金庫の中ではトップの規模となっています。
当金庫では中期経営計画において「デジタルの活用」の方針を掲げており、事務フローのデジタル化(グループウェア導入)、営業店受付フローのデジタル化(窓口支援システム導入)等を進めてきました。中小事業者や高齢層の個人顧客の比率が高い信用金庫においては、対面を中心としたリアルの応対と、デジタルを活用した非対面の応対のバランスが重要です。その目指すべき方向性を明確にした上で、必要なIT化・DX化に向けた個別施策を検討しています。
2025年6月に当金庫は創立100周年を迎えます。次の100年に渡っても地域に必要とされる金融機関であり続けるために、急激に変化する外部環境下においても地域に価値を提供し続けられるよう、DXの取り組みを強化していく考えです。
そうしたDXの取り組みの中で着目したのが電子契約です。電子契約を活用することにより古い慣行を変化させ、「紙文書不要、署名(記名)・押印不要」という新しい融資契約の形態を創造し、お客さまの印紙税負担軽減による商品競争力、顧客満足度の向上を図り、お客さまに新しい価値を提供できます。さらに、債権書類の電子化により、紙の債権書類に必要であった現物の保管・管理が不要となり、当金庫における事務面での大きな利点となると考え、具体的な検討に入りました。
── 「融資クラウドプラットフォーム」を導入された経緯を教えてください。
電子契約に関する情報収集を始めた当初から、セイコーソリューションズが電子契約システムの先駆けであることは認識していました。情報収集を続ける中で当金庫が導入している契約書作成システムのべンダーから、契約書作成システムと連携できるシステムとしてセイコーソリューションズの「融資クラウドプラットフォーム」を紹介され、提案を受けました。
提案を受けた2020年から電子契約システムの導入について具体的な検討を始めました。その後、別のベンダーから他の信用金庫との共同開発での電子契約システム導入の提案があり、併せて検討を重ねました。しかし共同開発案は、当金庫の運用実態に合わず、将来的な拡張性も期待できなかったため、検討対象から外しました。
その後、セイコーソリューションズから「融資クラウドプラットフォーム」の試行版を貸与してもらいました。実際に想定している手順で試行してみたところ、使い勝手がよく、当金庫のシステム運用に馴染むものと判断し、最終的にセイコーソリューションズの「融資クラウドプラットフォーム」の導入を決定しました。
── 導入選定ではどのような要件で比較、検討されたのですか。
業務効率化の観点から、当金庫で導入している融資稟議システムや契約書作成システムなど既存の融資関連システムとスムーズに連携できるかを前提に検討を進めました。特に契約書作成システムとの連携では、契約書のすべての項目にデータを埋め込みできるわけではありませんので、契約書作成システムが持っていないデータをいかにして電子契約書に埋め込むかが重要でした。共同開発案では埋め込みはできてもカスタマイズが必要で、その仕組みが複雑でした。一方でセイコーソリューションズの「融資クラウドプラットフォーム」には契約書作成システムから取り込んだ電子契約書に不足項目のデータを埋め込む機能がすでに用意されていました。
また当金庫の勘定系システムはしんきん共同センターのシステムを使用しており、それに付随するシステムも同システムを使っています。活用している融資統合システムとスムーズに連携できることも重要な判断基準でした。
── 「融資クラウドプラットフォーム」導入の決め手を教えてください。
セイコーソリューションズは電子契約に関して幅広い業種への導入実績を持っており、特に金融機関では大手行や地方銀行への導入実績が豊富で、先行事例も数多くあり安心して導入を決断できました。
いくら素晴らしいシステムでも、コストが高額であったり、機能追加のたびに開発費用が発生してしまうようでは当金庫として対応できません。「融資クラウドプラットフォーム」はパッケージでありながら運用の自由度が高く、予定していた予算で対応できた点を高く評価しました。
当金庫にも情報システム部門はありますが、今回、「融資クラウドプラットフォーム」、電子契約システムの運用は情報システムの専門ではない、私たち融資部で担当しています。それだけに情報システム部門では出てこない疑問やサポートの依頼もあるかと思います。そうした際、セイコーソリューションズは企業規模も大きく、サポート体制も充実している点を評価しました。
──どのような融資契約で「融資クラウドプラットフォーム」を活用しようとお考えでしたか。
当初は住宅ローンから開始し、段階的に事業性融資へ範囲を広げていきたいと考えていました。ただ、当金庫の住宅ローンは事業性融資に比べ新規実行件数が圧倒的に少ないことから、事業性融資も同時に開始することとしました。住宅ローンだけだと数が少なく効率化につながらない面もありました。融資の事務としては住宅ローンでも事業性融資でもフローは変わらないことも、同時にスタートできると判断した理由の一つです。
また、運用にあたっては、非対面での電子契約だけでなく、お客さまの来店による対面での電子契約も併用する運用としました。
──導入前に職員向けの研修などは行いましたか。
まず営業店職員がお客さまにスムーズな利用案内と操作説明が行えるよう、取扱開始前に営業店職員の苦手意識を払拭し、積極セールスを展開できるように意識付けが必要であると考えました。そこで電子契約システムの実際の操作画面画像とともに、詳細な操作説明を加えた電子契約システムの操作手順書を作成しました。導入時に営業店職員が戸惑わないよう、事前研修として複数回に分けて職員向けのシステム操作研修を開催し、お客さま側のスマホ操作も体験してもらいました。
2024年7月の導入当初、スムーズに「融資クラウドプラットフォーム」の利用が図れるか心配でしたが、始めてみると特段問題なく利用が進みました。営業店からは、お客様の抵抗感もなくスムーズに利用してもらい大変好評だと聞いています。
── 「融資クラウドプラットフォーム」の導入効果について教えてください。
電子契約の比率は当初は30%程度で、最終的に60%程度になればよいと考えていました。実際にはスタートした月は30%程度でしたが、翌月には40%を超え、その後、60%超と上がり、現在は70%台で推移しています。最終的には事業性融資の電子契約比率は80%から90%を目指したいと考えています。
お客様にとっては印紙税の負担が軽減され、顧客満足度の向上につながるとともに新しい価値を提供できました。同時に当金庫にとっては電子契約システム利用手数料の新設により手数料収入が増加しました。お客様にも電子契約は好評をいただいており、利用手数料も適正な設定ができたと考えています。
「融資クラウドプラットフォーム」の導入により、お客様から書類を預かるためだけの訪問回数を減らせました。そして紙の契約書を預かった場合、預かりの記録が必要ですが、電子契約になると現物の契約書がなくなり、その管理がなくなります。また、融資実行に際して、保管しておいた契約書を取り出して実行処理をするという管理もなくなります。契約書の保管・管理が不要になることは効率化につながったと聞いています。
── 「融資クラウドプラットフォーム」の今後の活用予定がありましたらお聞かせください。
将来的には、当座貸越商品や法務局が電子契約対応可となった場合の不動産担保設定契約書等に展開できたらと考えています。機能的にもより拡充していきたいと思っています。またローン申込のWebシステムなど、新たなシステムの拡充も検討していく予定です。
── 「融資クラウドプラットフォーム」並びにセイコーソリューションズに対する期待、リクエストがありましたらお聞かせください。
操作性がよく使い勝手のよいシステムで問題なく稼働しており、「融資クラウドプラットフォーム」を導入してよかったと思います。また、導入後もきめ細かいサポートをしていただいており助かっています。今後も電子契約システムを含め「融資クラウドプラットフォーム」の拡充により、更なる利便性向上につながるよう取り組んでいきたいと考えていますので、様々な提案や情報提供など、幅広いサポートをよろしくお願いします。また、システムのユーザー目線での改善やアドバイスなどもお教えいただけると助かります。
しののめ信用金庫様、 本日はお忙しい中、貴重なお話しをありがとうございました。