紀陽銀行
融資部 融資企画・審査担当 部長代理(取材当時) 井上様(左)
融資部 融資企画・審査担当(ローン) 主任 岩上様(中)
融資部 融資企画・審査担当 主任 岩松様(中左)
融資部 融資企画・審査担当 中谷様(中右)
融資部 融資企画・審査担当 森様(右)
紀陽銀行は1895年の創立以来、本店がある和歌山県、1950年に出店をした大阪府を主要エリアにしてきました。地域経済を支えるという重要な使命を担い、目指す銀行像として「銀行をこえる銀行へ」を掲げ、お客さまの期待や地域の壁をこえ、銀行という枠をこえることを目指しています。そしてセイコーソリューションズの「融資クラウドプラットフォーム」を導入し、住宅ローン、事業性融資、当座貸越の金融商品3商品(業務)で電子契約サービスを実現しました。導入の経緯と導入効果について、紀陽銀行融資部 融資企画・審査担当 部長代理 井上様、同部主任 岩上様、同部 中谷様 にお話を伺いました。
── セイコーソリューションズの「融資クラウドプラットフォーム」を導入された背景について教えてください。
紀陽銀行は1895年の創立以来、和歌山県および大阪府を主要エリアとして地域の皆様とともに歩んできました。和歌山県に本店を置く唯一の銀行として、地域経済を支えるという重要な使命を担い、目指す銀行像として「銀行をこえる銀行へ」を掲げ、お客さまの期待や地域の壁をこえ、銀行という枠をこえることを目指しています。
地域企業への本業支援に注力することで、地域産業の活性化と雇用創出を推進し、サスティナブル社会の実現を目指しています。
大阪府には1950年に出店以来、当行が地元エリアと位置づけている大阪南地区のメインバンク調査(帝国データバンク調べ)では、大阪府以外に本店を置く金融機関(メガバンク除く)として第1位のシェアを確保しています。今後は大阪市内中心部でもメイン取引化にこだわり、お客さまとの接点強化に努めています。
中期経営計画においては「中小企業向け貸出を起点としたビジネスモデルの追求により、グループ一体で地元企業のバリューチェーンのすべての領域に関わり価値共創する総合金融グループ」というコンセプトのもと、中小企業向け貸出を起点としたビジネスモデルの追求を掲げています。
そして当行におけるDX推進のためにいろいろな企画を考えている中で、融資部門は銀行業の根幹をなす業務で変革が難しい部門であったため、IT活用、DX化が進んでいないという課題を持っていました。他行さまの状況を見るとすでにいくつかの事例が出ていましたので、これは早期に検討すべきと考え、対象として金融機関でも導入が進みつつあった住宅ローンの電子契約を足がかりとして検討を行いました。
その後、他行さま訪問など情報収集を行いつつ、部内協議を経て、行内の具体的な検討を始めたのは2019年です。
── 「融資クラウドプラットフォーム」を導入された経緯を教えてください。
通常、システムに関することは情報システム部門が中心となって進めることが多く、過去に融資部から提案することはほとんどありませんでした。ただ、この電子契約については、融資業務の所管である融資部から話を持っていき、事務システム部をはじめ関連部門にご協力いただくかたちで進めていきました。
各部門の協力を得ながらいろいろと検討を進めてきましたが、電子契約はまだ出始めたばかりで、システムによって少しずつ仕様が異なっていました。すでに導入されている他行さまへの訪問も行うなど情報収集を進める中で、どのような流れで契約にいたるのかを確認し、疑問に感じたところのヒアリングを行い、当行に合っているシステムを探していきました。また、他行さまでの導入実績がなく、当行が一から作りあげるのは難しいと考えていましたので、導入実績に関しては重要視していました。
具体的には5社のシステムを比較検討し、そこから2社に絞って最終的な検討を行い、セイコーソリューションズの「融資クラウドプラットフォーム」の導入を決めました。
正式に契約したのは2020年9月ですが、導入には1年から1年半は必要だと考えていました。導入開発の時期は折しもコロナ禍となってしまい、セイコーソリューションズとはほとんどがオンラインでのやりとりでした。そんな中、当行の様々なリクエストに応え、スムーズに導入開発を行ってくれたことは、高く評価しています。
── 「融資クラウドプラットフォーム」を導入した決め手はどこにあったのでしょうか。
「融資クラウドプラットフォーム」を導入した理由は下記の通りです。
1.複数の金融商品に対応できる将来的な拡張性と導入実績。
住宅ローンの電子契約サービスだけでなく、事業性融資取引の電子契約サービス、当座貸越のWeb申込サービスなどへの展開を考えていました。システムとして対応可能か、そしてそれらすべてに導入実績があるかも確認し、将来的な拡張性に対応できるところが大きなポイントでした。
また、電子契約を行うシステムを複数持つのではなく、一つのシステムで今後拡張していくであろう電子契約サービスに対応できることを評価しました。
2.既存システムとの連携。
電子契約サービス単体で契約書を作成するのではなく、既存のシステムと連携して電子契約書の作成を行えることが必要でした。例えば住宅ローンの申込書や事業性融資取引の稟議書は既存のシステムがその内容のデータを持っており、システムチェックがかかるようになっています。そのシステムチェックが済んだデータを電子契約サービスと連携して電子契約書を作成できる点を評価しました。
3.独自の組織の制御、権限をシステムに反映できる。
当行の組織体制として、1店ずつ独立した支店に加え、主要店舗(母店)の下に複数の支店がぶら下がる連合店という組織形態も採っています。こうした当行独自の組織体制を反映した権限付与が行えるカスタマイズ可能な点を高く評価しました。
4.機能とのコストバランスが取れている。
いいシステムであれば費用が高くなることは理解していますが、当行としてはOHRなどの目標もあり、無尽蔵に経費を使えるわけではありません。こちらが求めている機能とコストのバランスがよい点も評価しました。
── 「融資クラウドプラットフォーム」の導入効果を教えてください。
1.3つの融資商品での電子契約サービスを実現。
「融資クラウドプラットフォーム」の導入により、2021年8月2日の住宅ローンを皮切りに、2022年4月25日より事業性融資取引、2022年7月4日より当座貸越Web申込サービスと、3つの融資商品で電子契約サービスを実現することができました。
住宅ローンはお客さまから申込書をいただいて、審査を行いご契約という流れですが、事業性融資取引は個々の申込書をお客さまからいただくのではなく、渉外担当者がお客さまを訪問し資金需要をお聞きして、稟議書を作成し、稟議承認となってからご契約を結ぶ流れになっています。このように業務フローが異なる金融商品でも、一つのシステムで電子契約を行えるのは当行として大きなメリットです。
2.住宅ローン契約者の95%以上が電子契約サービスを活用。
住宅ローンについては当初、毎年20%ずつ電子契約サービスに移行し5年間をかけて100%にできるだけ近づけばいいと計画していました。実際には導入後1年間で住宅ローンご契約者の95%以上が電子契約サービスでご契約を結ばれており、ご契約の都合でどうしてもできない場合を除けばほぼ100%といっていい状況が実現できました。
契約書の電子化によりお客さまの印紙代の負担がなくなったことも、とてもお喜びいただいています。
3.業務の効率化につながる。
「融資クラウドプラットフォーム」には直接お会いしなくとも契約ができる機能がありますので、例えば遠方のお客さまでも訪問することなく、契約ができることは業務の効率化につながっていきます。
手書きの契約書の場合、お客さまが書き間違えていないかなど、そうしたチェックを担当者が自身の目で一つ一つ行わなければならなかったものが、電子契約に移行してからは契約書ができた段階でチェック済みになっていますので、ずいぶん楽になったという声が多いようです。
また、管理する立場では、契約書作成後、お客さまに電子署名していただき、控えを交付するまでの進捗状況をシステム上で確認することができるので、管理がしやすくなっています。
4.DX化の意識付けができる。
2022年5月に経済産業省の「DX認定事業者」として当行が認定されましたが、融資業務は紙の契約書に印鑑をきちんと押して、というアナログな面がまだまだ残っています。その融資業務で電子契約という日常的に行う業務のDX化を推進することができましたので、全行でのDX化をさらに推進する意識付けにつながればと考えています。
── 「融資クラウドプラットフォーム」の今後の活用予定を教えてください。
事業性融資取引や先行した住宅ローンでもすべての契約書の電子化を行ったわけではありませんので、今後も電子化できる契約書については、一つ一つ電子化を進めていきたいと考えています。そして、住宅ローン分野ではWeb申込についても検討していきたいと考えています。
── セイコーソリューションズ並びに「融資クラウドプラットフォーム」への期待、リクエストなどありましたらお聞かせください。
まず「融資クラウドプラットフォーム」はとても使い勝手がよくて、たいへん助かっています。例えば検索項目も権限でどの検索窓を表示させるか・させないかが割り当てられたり、ひとつのボタンで商品を切り換えたりと、何げない機能がとてもいいと思います。
また、導入後にも打合せを行い、他行さまでも必要と思われる機能は、個別のカスタマイズではなく、システムの標準的な機能として開発していただいています。柔軟に対応いただいており、今後のユーザー拡大にも期待できると思います。
今後も対象となる契約書の拡大や、システムの機能アップによる利便性の向上、さらなるDX化を進めていく予定ですので、ご提案並びにサポートをよろしくお願いいたします。
紀陽銀行様、
本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
◎紀陽銀行
URL https://www.kiyobank.co.jp
※ 取材日時 2022年8月