株式会社愛媛銀行
常務執行役員 お客様サービス部長兼デジタル戦略室長 秋廣伸二様
株式会社愛媛銀行は、1915年(大正4年)に東豫無尽蓄積株式会社が設立されたことに始まります。その後、1951年(昭和26年)の相互銀行法が公布・施行にともない、商号を株式会社愛媛相互銀行に変更。さらに1989年(平成元年)2月には、普通銀行に転換し、株式会社愛媛銀行となりました。現在、県内外に114店舗(本支店98、出張所16)があります。セイコーソリューションズの「融資クラウドプラットフォーム」を導入し、住宅ローンの申込から契約までネット上での一気通貫を実現しました。導入の経緯と導入効果について、愛媛銀行 常務執行役員 お客様サービス部長兼デジタル戦略室長 秋廣伸二様にお話を伺いました。
── 愛媛銀行について教えてください。
愛媛銀行の創業は、1915年(大正4年)に東豫無尽蓄積株式会社が設立されたことに始まります。その後、1943年(昭和18年)に愛媛県内の無尽会社5社が合併し、松山市に愛媛無尽株式会社が設立されました。1951年(昭和26年)に相互銀行法が公布・施行されたことにともない、商号を株式会社愛媛相互銀行に変更しました。以来、業容の拡大、店舗などサービス面の拡充および機械化の推進などを図り、1989年(平成元年)2月には、普通銀行に転換し、株式会社愛媛銀行となりました。現在、県内外に114店舗(本支店98、出張所16)があります。
経営理念である「ふるさとの発展に役立つ銀行」のもと、金融を中心とするサービスの提供を通じて、地域社会とすべてのステークホルダーにとって、将来にわたって経済的、環境的な豊かさを享受できる社会の実現を目指し、次の世代に引き継いでいく取り組みを行っていくことにより、地域金融機関としての公共的な使命と社会的責任を果たしていきます
── セイコーソリューションズの「融資クラウドプラットフォーム」を導入された背景について教えてください。
当行では10数年前から住宅ローンのインターネット受付を行っていますし、個人向けローンのインターネット対応も進めてきました。そこを突き詰めて行くと融資契約の電子署名による契約という課題が出てきます。その中で導入しやすいのは住宅ローンではないかと考えていました。電子署名による契約は技術としては法的にも問題なくできることはわかっていましたが、改ざんの問題であるとか、本人が契約したかどうかの問題については、実質的にクリアできないと思っていました。ただ、そうしたものを入れていきたいという思いはありましたので、新しいことスキームや技術が紹介されると、声をかけたり内容を調べたりして、使えるのか、有効なシステムなのかをみてきました。
── 「融資クラウドプラットフォーム」を導入された経緯を教えてください。
2018年末にセイコーソリューションズとMerryGateホールディングスが開発した「融資クラウドプラットホーム」の記事を読み、地理的に近いMerryGateホールディングスに説明をお聞きしました。
住宅ローンのインターネット受付をすでに行っていますので、当行としては業務フローが伴ったシステムの導入を考えていました。例えば電子署名だけのお話はセイコーソリューションズ以外からも数社ありました。ただ、業務フローが伴わないものだけに取り組みにくいと考えていました。
一つのパートとしてシステムを導入することはそれほど難しい話ではありませんが、現在の当行の業務に対してどう組み込んで、どのようにデータを連携して、どのように業務を回していくのか、ここの構築は要件定義の中でも難しいところです。そのところが「融資クラウドプラットフォーム」は他社でも実績がありましたので、安心して導入に踏み切れるのではないかと考えました。
また、当時は他に業務フローまで含まれているシステムはありませんでしたので、比較検討するシステムがなかったと記憶しています。
── 「融資クラウドプラットフォーム」を導入された決め手を教えてください。
一番は申し込みから契約まで一気通貫ででき、その中で電子署名が可能になっているところです。
そして「融資クラウドプラットフォーム」は業務フローが伴っており、ある程度の業務フローを比較検討した中でできあがっているシステムだと思います。すると自分たちが考えて業務フローを作るよりも、いいものができる可能性が高いという期待も「融資クラウドプラットフォーム」を導入した決め手です。導入を決めたのは2019年秋頃でしたね。そして2020年8月からお客様向けにスタートしました。
── 導入に向けての開発は順調でしたか。
開発を進めている途中で、コロナ禍の影響で打ち合わせがオンラインのみになるなど、コミュニケーションが取りにくい状況になりました。「融資クラウドプラットフォーム」は初めて提供していただくものなので、UI、UXについてはいろいろと修正をしました。やはりお客様向けの画面になりますし、当行独自のやり方や見せ方もあります。そこをきちんと作り込んでおかなければ離脱率の問題につながりかねません。Web上で申し込むということは、お客様がセルフで入力しやすい必要があります。同時に注釈であるとかエラーの見せ方も重要ですので、UI、UXについてはだいぶ手を入れました。
先ほどお話ししたように住宅ローンの申し込みのネット受付はすでに行っていましたので、聴取項目などはすでにありました。あとは審査システムにつなぐところ、審査システムから帰ってくるところ、お客様に返すところ、契約書を作成してお客様に電子署名で契約してもらうところ、電子署名に対する本人確認のあり方などの業務は新たなものになります。ここはしっかり作り込んでおかないと、業務が回りにくくなる可能性がありますので、ていねいに行いました。
当行はネット銀行ではありませんし、地方にある銀行ですので、お客様のITリテラシーの問題もあります。そこでリアル店舗とWebとの結びつき、リアル店舗でフォローしやすいかたちであることも意識して進めてきました。
また、同時期に住宅ローンのAI審査システムも導入しましたので、そのシステムとの連携も必要でした。「融資クラウドプラットフォーム」にAI審査をプラスしたら、かなりいいものできるのではないかという仮説に基づいて同時に進めていました。
── 「融資クラウドプラットフォーム」の導入効果を教えてください。
1.お客様の利便性が高まった。
住宅ローンはローンセンターで主に取り扱っており、土曜日・日曜日もお客様対応をしています。そこで説明を聞いて、帰宅後の夜、入力を行うお客様が多いようです。やはり平日は時間が取りにくいお客様が多いので、曜日や時間に関係なく申し込みやその後の手続きの入力ができることで、お客様の利便性が高まっていると思います。
2.申し込みから契約までを一気通貫で実現できた。
それまでの受付のみだったインターネット上での手続きを、契約までできるようにできたことは一番の成果として評価しています。お客様は控えをマイページでいつでも見ることができますので、当行だけでなくお客様のペーパーレスにも貢献しています。
3.住宅ローンの申し込み増につながる。
これは「融資クラウドプラットフォーム」の導入だけでなく、四国にはあまりない変動金利の金利が低い商品の提供を行ったことも一因かもしれませんが、住宅ローンの申し込み自体は増加しています。AI審査システムを入れることでコスト構造を見直して実現した商品ですが、仮説通り「融資クラウドプラットフォーム」との相性がよかった結果だと考えています。また、電子署名による契約の割合は約3割となっています。
── 「融資クラウドプラットフォーム」の今後の活用予定を教えてください。
住宅ローン以外の商品を開発までして行うかどうかはコストの兼ね合いもあり検討中です。ただ、契約の部分だけをということであれば、セイコーソリューションズが得意としている電子署名の部分だけという観点になりますが、今後出てくるかもしれません。
── セイコーソリューションズ並びに「融資クラウドプラットフォーム」への期待、リクエストなどありましたらお聞かせください。
現在、セイコーソリューションズにリクエストして進めてもらっているのは、住宅業者さんが「融資クラウドプラットフォーム」に参加できるようにしてほしいというものです。現在は、例えば建築確認が行政から下りた場合、その書類はお客様がスキャンして「融資クラウドプラットフォーム」にアップロードするか、ローンセンターにご持参いただく必要があります。これを住宅業者さんがお客様のサポートということで、代わりにアップロードできるようにするなどができるといいと思います。お客様、住宅業者さん、当行の3者で進行が確認できるようになると、より使い勝手が向上するのではないかと思います。
今までもいろいろとリクエストをさせていただいていますが、きちんと対応してくださっていますし、お客様、当行の使い勝手が向上するアップデートも行っていただいています。今後ともリクエストへの対応とサポート、そして新たなご提案に期待しています。
愛媛銀行様、
本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
◎愛媛銀行
URL https://www.himegin.co.jp
※ 取材日時 2022年9月