第一倉庫冷蔵株式会社は、1958年創業の総合物流会社です。埼玉県南部に約90拠点・10万坪の倉庫を有し、首都圏の物流に貢献しています。常温・チルド・冷凍の3温度共同配送を業界に先駆けて実現するなど、常にお客様のご要望に合わせた配送スタイルの実現で業界をリードしています。
その背景には、リアルタイムでお客様とのデータ通信を実現した物流管理・商品プロセス管理システム「DARWIN(ダーウィン)」の存在があります。新たに統合EDIサーバー構築パッケージ「ROS³(ロスキュービック)」を導入された経緯と効果について、第一倉庫冷蔵株式会社 業務本部 システム開発チーム 部長 草野 肇氏にお話を伺いました。
- 統合EDIサーバー構築パッケージ「ROS³」をセイコーソリューションズから導入した背景をお教えください。
第一倉庫冷蔵は、埼玉県南部に約90拠点・10万坪の倉庫を有する総合物流事業を行う会社です。すべての拠点を一つのネットワークで結んでおり、拠点のうちリアルタイムのデータ処理に対応できるオンライン拠点は18カ所あります。
弊社のネットワークは「DARWIN」と呼ばれる物流管理・商品プロセス管理システムで、2004年より運用しています。それ以前は、拠点ごとにオフコンを設置してスタンドアローンで運用していました。拠点ごとに行われていたデータ処理を一元化し、データを集積していこうという考えのもとに導入されたのが前述の「DARWIN」です。「DARWIN」は社内の開発部隊がほぼすべての開発・運用を行っています。
「DARWIN」の導入にあたり、各拠点のオフコンを廃して、「DARWIN」端末を導入するとともに、拠点ごとにお客様と行っていたデータ通信も集約して1カ所で行うべく、EDIサーバーを導入しました。この集約に関する開発も自社内で行っています。当時(2004年)導入したEDIサーバーはプロトコルごとにPC1台とTA1台が必要になり、仮に5回線であれば、PCとTA5セットの導入が必要でした。
このかたちで長年運用をしてきましたが、PCの耐用年数、並びにOSがWindowsXPでしたので、サポートの終了もあり、新たなEDIサーバーの導入が必要になりました。また、拠点のサーバーでお客様とデータ通信を行っているプロトコルもありましたので、バックアップ態勢を含めて改めて集約したいと考えました。また、セキュリティーに関しても最新のセキュリティーレベルに合わせる必要もありました。
- 「ROS³」導入にあたり、自社内サーバーの環境からデータセンターの活用に変更されましたが、その理由をお教えください。
東日本大震災の停電対策で苦労したことが一番の理由です。埼玉県では計画停電が実施されたため、全拠点の情報処理がストップしてしまう可能性があったので、当時は発電設備を用意して対応をとりました。
実は「ROS³」導入時に新事務所への移転も行っており、それに伴い自社内サーバー並びに発電設備の完備なども検討しました。無停電の電源設備を導入することも検討したのですが、コスト面、安全面を考慮して、社外のデータセンターを活用することとしました。
「ROS³」はデータセンターに納入していただいており、2015年4月より稼働しています。新事務所は2015年4月に竣工し5月より使用しています。
— セイコーソリューションズ並びに「ROS³」はどのようにしてお知りになりましたか。
以前から展示会にはよく行っており、セイコーソリューションズのマルチプロトコルコンバーターUSTが気になっていました。ハードウエアでプロトコル変換に対応できるので、何とか自社のシステムに使えないかと考えたのが、最初のきっかけです。
— EDIサーバーパッケージの選定はどのように行いましたか。
セイコーソリューションズを含む3社から提案を受け話を聞きました。まず「DARWIN」で稼働しているEDIサーバーの会社の最新プログラムを検証しました。プログラムとしてわかりにくいこと、サーバー機能が分散化していて新たに何台ものサーバーを用意しなければならないこと、プロトコルコンバーターの仕様を公開していただけないという問題もあり、決定には至りませんでした。
もう1社はITベンターでしたが、「ROS³」を提案いただきました。それならセイコーソリューションズに直接依頼した方がよいだろうと判断しました。
いろいろご説明いただき、不明な点に関しては伺って確認までさせてもらいました。詳細な内容を検討し、社内の開発部隊からもOKがでましたので「ROS³」の導入を決めました。
— セイコーソリューションズの「ROS³」に決定した理由をお聞かせください。
①複数のプロトコルに対応
「ROS³」は全銀、JCA、FTP、SFTPなど複数のプロトコルに対応するオプションがあり、旧システムで使用していたすべてのプロトコルに対応することができました。
②コンバーターとの親和性が高く、サーバー構成がシンプル
マルチプロトコルコンバータUSTとの親和性が高く、「ROS³」とともに自社開発という信頼性を評価しました。当社で開発して運用しますので、管理するサーバーが増えてメンテナンスが増えることは避けたいので、シンプルなサーバー構成であることを高く評価しています。
③「DARWIN」との接続がしやすく、連携可能な点を評価
それまでもシステムはFTPで自社システムである「DARWIN」と接続していました。「ROS³」もFTPに対応しており、接続しやすく、連携可能な点が決め手となりました。
④自社内で開発・メンテナンスができる
当社で開発・メンテナンスができるパッケージであること、そして自社開発をしているメーカーと直接取引したいと考えていましたので、「ROS³」はその条件にピッタリでした。
— 「ROS³」の導入にあたり工夫されたことはありますか。
以前は複数のサーバーで運用していたデータ通信が一つに集約されましたので、導入後の2カ月ほどは、ファイルの名前づけのルール策定などに費やしました。前は別々のサーバーだったので矛盾が生じなかったことも、一元化したことにより矛盾が生じたり、画面表示の際のファイル名の見やすさといったことを繰り返し検証して、ルール策定を行いました。
現在では、「ROS³」の管理画面をぱっと見ればお客様とデータ送受信の状況が分かるようになりました。
— 「ROS³」の導入効果をお教えください。
①新たなプロトコルの導入が容易になった
すでに全銀、JCA、FTP、SFTPをオプションで導入していますが、「ROS³」は現時点で10のプロトコルに対応しており、新たなプロトコルの導入が容易になりました。
②一元管理ができるようになり、全社の状況が簡便に把握できるようになった
「ROS³」による一元管理を実現でき、1カ所で同じ考え方で管理できることにより、かなり管理しやすくなったと考えています。
③自社で開発ができたので、お客様とのデータ通信環境をすぐに構築できた
「ROS³」を使い、お客様とデータ通信を行える環境を自社で構築できました。自社で構築・運用を行うことが大切な理由は、当社は総合物流事業者なので、当社にお声掛けいただくお客様はすぐにでも利用を開始したいとお考えです。お客様とはオンラインでの通信がベースとなりますので、当社とお客様の間にすぐにデータ通信ができる環境を構築する必要があります。そのために社内で使いこなすことができるパッケージであることが重要なのです。
④ログがきめ細かくとれ、しかも日本語表示なので、トラブルの原因が把握しやすい
データを送付しているのに届いていないという場合、どちらに問題があるのかを特定する必要があります。とくに多頻度の配送が増えていますので、わずかなデータの遅れが大きな影響となるケースも出てきます。データが来ない場合に、どこに問題があるのかを調べられることはとても重要です。「ROS³」の場合、きめ細かいログが日本語で出力されますので、わかりやすく、問題を突き止めやすく助かっています。
— 「ROS³」、そしてセイコーソリューションズに対してのリクエスト、期待などありましたらお聞かせください。
現在、新たなオプションとして「HULFT」手順の導入を検討していますので、ご対応をよろしくお願いします。
今後とも新たなご提案などをお待ちしています。
第一倉庫冷蔵株式会社様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
○ 第一倉庫冷蔵株式会社
URL http://www.dsr-gp.co.jp/
※ 取材日時 2016年2月